勉強会 2024年3月27日(木)
☆13:10~14:20 招待講演 (東北大学 遊佐訓孝 教授)
タイトル「きず検出確率(Probability of detection; POD)評価に関して」
きずの検出は非破壊検査の主たる役割の一つである。しかしながらその一方、人為的要因も含む各種雑音、さらにはきずの微細構造等の影響などにより、ある大きさ以上のきずであれば確実に検出が可能とは限らない。即ち、検出限界という二値的な評価は必ずしも妥当ではない。本講においては、非破壊検査技術のきず検出能力を確率論的に評価するためのきず検出確率(Probability of detection; POD)評価技術について、その概要と基本的な手順、近年の研究動向などを紹介する。
☆14:30~15:10 若手向けレクチャー①(大阪大学 林高弘 教授)
タイトル「いまさら聞けない,振動・波動の計測」
超音波非破壊検査(UT)に用いられる振動・波動の計測では,振動を電圧信号に変換し,アナログ回路での信号増幅やフィルタリングといった処理を行った後に,アナログ信号をデジタル信号(数値)に変換し,ソフトウェア内でフィルタリングや包絡線処理,ピーク検出,画像化などのデジタル信号処理を行っています.それぞれのパートを正しく理解することで,新しい研究・開発の発想が生まれてきますし,日々進化する計測装置を使いこなすことができるようになります.ここでは,日々の振動・波動計測において直面する種々の課題について,これまで解決してきたことや気を付ける点などについてお話いたします.
☆15:10~15:50 若手向けレクチャー②(愛媛大学 中畑和之 教授)
タイトル「いまさら聞けない,振動・波動の数値シミュレーションの裏話」
超音波検査や衝撃弾性波法など,非破壊検査には波動が用いられています.また,インフラの検査として叩き試験が行われており,非破壊検査には振動も重要なツールです.波動や振動のシミュレーション技術は,昨今,飛躍的に進歩していますが,これを使いこなすには,根底にある物理現象の俯瞰的理解,センサの入出力特性やモデルの不確かさの把握等,技術者が把握すべき点がいくつかあります.ここでは,波動・振動現象の数値モデル化において,講演者のこれまでの研究や経験に基づくTipsを紹介します.
☆16:00~16:40 若手向けレクチャー③(熊本大学 小林牧子 教授)
タイトル「高温超音波測定の世界」
高温超音波測定は、稼働中のインライン・リアルタイム測定で必要とされる技術であり、非接触方式と接触方式に大別される。非接触方式には、レーザー超音波、空気超音波、電磁超音波トランスデューサ(EMAT)があり、それぞれ光学、空気中伝播、電磁誘導を利用して高温環境下での測定を可能にする。一方、接触方式では、遅延線を用いることでセンサの熱影響を低減する方法や、耐熱性を所有するゾルゲル複合体超音波トランスデューサによる測定も可能である。それぞれの手法の特徴と、カナダ国立研究所によるレーザー超音波の高温測定結果、ゾルゲル複合体超音波トランスデューサによる最新結果について説明を行う。
☆16:40~17:20 若手向けレクチャー④(東北大学 内一哲哉 教授)
タイトル「炭素繊維複合材料の非破壊検査」
炭素繊維複合材料は,航空機構造材料や車載用水素圧力容器などをはじめとする高い比強度,比剛性が求められる構造材料として用いられている.炭素繊維複合材料の非破壊試験の難しさは,欠陥の種類の多さに起因すること,樹脂と炭素繊維から構成される不均質な構造を元来持つため,欠陥の幾何学的不連続性が信号の中で認識しづらいことの2点があげられる.炭素繊維複合材料の非破壊検査方法について概観するとともに,特に渦電流探傷試験法を取り上げ,その原理と炭素繊維複合材料への適用事例について紹介する.